2018.04.19
世界最大規模のクリエイティブ・ビジネス・カンファレンス「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」日本ブースの様子を現地からレポート【1】の続きです。
目次
その名の通り、「WOW!」がたくさんある、大人のゲームセンターのようなハイテク機能満載のソニーブースです。
特に面白かったのは、このエアアイスホッケーです!ソニーの高速ビジョンセンサーを組み合わせた新しいARシステムのエアアイスホッケーは、1000ピコ秒の超高速オブジェクト追跡、ユニークな予測アルゴリズム、触覚技術などが導入されています。なお、右の画像のように、ゲストがさまざまな画像を投影する際に、素早く動くパックとパドルをリアルタイムで追跡できます。
パナソニックブースはオースティンの中心地、シックスストリートに会場を構え、盛り上がりを見せていました。様々な展示がありましたが、その中で私が注目したのは副作用なく歯をホワイトニングできるシステムです。現在の歯のホワイトニングはジェルを使い、歯医者や自宅で行うものが主流ですが、ホワイトニングの際に使用するジェルの影響で知覚過敏になってしまう方も多くいます。それを解決してくれるのが「Sylphid」です。ジェルを使わずCO2とH2O、つまり空気と水から歯を白くするのに必要な“OHラジカル”をつくることに成功したそうです。
実際に現場で紙を使って白くするデモンストレーションを見せていただけました。食用の着色料で色がついた紙にミストを当てることにより数分でみるみるうちに白くなり、技術の高さを感じました。私自身がホワイトニングを日常的に行い、アイスキャンディーを食べられない程、知覚過敏になってしまったので、この製品の実用化が待ち遠しいです。
【テーマ】The Power of Ideas to Transform the World is Accelerating
【登壇者】Ray Kurzweil氏,Google,
Jessica Coen氏, Mashable
今、世界で最も注目を集める発明家であり未来学者の1人であるレイ・カーツワイルによるキーノート。コンピューターチェスが人間の能力を超えることやインターネットの成長をはじめ、数々の彼の予言の的中率は86%であることも有名ですが、SXSW2018のキーノートでは、彼の最新のビジョンを語っていました。レイは、テクノロジーが現代の「仕事場」の考え方を考え直すだけでなく、バイオロジーをより実体のあるハードウェアと入れ替えることができ、2030年代の初期には、人間の意識を電子媒体にコピーできるようになるといった様々な予測を語っていました。
レイの予想はエキサイティングであり、圧倒的で、そしてちょっと怖い。時が彼の予想率の高さをさらに研ぎ澄ますのか、また、未来は人々の全く別のプランがあるのか、時間だけが教えてくれると感じました。
【テーマ】The Future of the Shopping Center
【登壇者】Scott Lachut, Partner PSFK,
Lee Hnentika, Darkstore
リテール業界では最新の「見えないリテーラー」として注目を集めているリーによるセッション。Lee自身、Nike のジョーダンラインや、Snapchatと提携したり、momofukuとARを使ったキャンペーンなどで注目を集めています。ショッピングモールなどの集客が減少する中で、どのような付加価値をつけて集客率をUPするか。付加価値のソリューションとして、コミュニティスペースを作り、人々がショッピングという目的以外の経験をつくることや、スパ・フィットネス・健康的なライフスタイルをリテール提供の中核とすることにより、ウェルネス市場の継続的な成長を促すことを挙げ、様々な企業が取り組んでいる事例を紹介しながら10のTipsを紹介していました。
【テーマ】The power of purpose in Business and Life
【登壇者】Co-founder, Chairman-GSD&M Roy Spence
SXSWを設立当初からサポートしているRoy Spence。
「人生、仕事における目的とは」をテーマにしたセッション。
「if there is purpose beyond making money, you will make more」ビジネスをする上でしっかりした目的を持ち、あなたが立派なビジネスマンだったら価値のある利益を作ることができる。家族と、友達とペットを大切にして、それ以上に大切にするTipがあるのかといった、ベーシックな話にも取れますが、それがどれだけ重要な要素なのかということを、Royの人生を振り返りながら語っているセッションでした。サプライズゲストで映画インターステラーなどに出演していたMatthew McConaugheyが登場し、所さんのダーツの旅in Austin?! ならぬ、Roy自身が次に訪れる街を、ダーツで決めていました。(結果ノースダコタ州に決定!)
終始Joke混じりの楽しいセッションで、最後にはスタンディングオベーションでした!!
【テーマ】Brand Storytelling in the Digital Age
【登壇者】Mary Beech Executive VP and CMO at Kate Spade New York,
Kristen Naiman Sr.VP Brand Content Kate Spade New York,
Krista Neuhause Sr. Dir. Brand Mktg Kate Spade New York
女性に絶大な人気を誇るKate Spade。そのKate Spadeから3名の登壇者を迎えて、どのようにブランドを成長させていったかを語ったセッション。Kate Spadeは、Kate Spadeというトラディショナルな印刷会社の若い編集者と、レクサスやコカコーラなどのアカウントエグゼクティブとして働いていた彼女の夫、アンディースペースによって生まれました。
今日における成功のひとつとして、「我々のブランドは、カスタマーにもっと面白い人生をリードするためにある。ブランドもカスタマーもポジティブで楽天的だし、完璧じゃない。でも、それはいいこと。人は誰でも完璧じゃないから。」と述べ、Clearなブランドストーリーを造っていくことがキーポイントとのこと。その他、ファッション業界をリードしているだけあり、おしゃれな表現で今日のデジタル時代におけるブランドストトーリーテリングをセッションの中で展開してくれました。
今回、SXSWに初参加した感想を、一言で表現するのなら「大企業の新しい取り組みを発見できる場」でした。名前を知っている大企業が様々な新しい取り組みを出展していました。その殆どがプロトタイプで完成度は高くなく、まだまだ伸び代を感じるものでした。
大企業でも常にイノベーションを求めていること、感度高くアンテナを張り、新しいものに取り組む姿勢が見えたカンファレンスでした。
Dmexcoは、出展側の既存顧客とのネットワーキングが主流のカンファレンスです。WebSummitは、無名に近い様々なスタートアップ企業が集まり、Next Uberを探すべく、原石を探すカンファレンスでした。
海外のカンファレンスには、様々な特色があります。SXSWにいると、「なぜこの企業がこの様な取り組みをしているの?」と首をかしげることも多くありました。出展目的を尋ねると、殆どの企業が「私たちが持っている技術や発想に対して、様々な国や職種の方から生のフィードバックをもらいたい」という声がかえって来ました。また、普段、日本では出会うことができないコネクションを求めて参加しています。
また、世の中の流れが、AIとブロックチェーンを中心に動いていることも体感できました。目まぐるしく進化する流れをアップデートする場として、最適な場所がSXSWだと思います。
さらに、SXSWの最大の特徴は “街” が 舞台という点です。海外カンファレンスは大きなコンベンションセンターだけが会場ということも多いですが、SXSWは街全体が完全に「SXSW一色」になり、他にはない一体感があります。
ゲストスピーカーでシュワルツェネッガーやテスラの社長イーロン・マスク、俳優のマシュー・マコノヒーが出演するなど、普段会うことのできない業界著名人や有名人をゲストに迎え、エンターテインメントとしても、非常に盛り上がっていました。
今回のSXSWの日本人参加者数は、総勢1500人を超えるなど、注目度は年々高まっています。ナノベーションでは、参加者同士のネットワーキングや企業訪問など、様々オプションがある「SXSW2019ツアー」を企画予定です。みなさまのご参加をお待ちしております。
世界最大規模のクリエイティブ・ビジネス・カンファレンス「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」日本ブースの様子を現地からレポート【1】
「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」の見どころと、楽しさ(観光スポット&オススメ飲食店)を現地レポート【3】
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