2018.04.10
2018年3月9日〜19日にオースティン(米国)で開催された「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」。ナノベーションでは視察ツアーを組み、総勢21名で参加してきました。今回、私(笠原 望)がレポートさせていただきます。
1987年に始まり、今年で31周年を迎える音楽祭・映画祭・インタラクティブ・フェスティバルなどで構成される世界最大規模のクリエイティブ・ビジネス・カンファレンスです。
始まりは、大学生のSpring Vacation(春休み)に合わせて開催された、参加者700人程度のインディーズの音楽フェスティバルでした。実は、あのジャズシンガー&ピアニストのノラ・ジョーンズがメジャーになったきっかけもSXSWです。
過去には、日本からCoccoやKururi、Perfumeなど人気アーティストも参加しています。ちなみに今年、出演した日本のアーティストは、ソニー・ミュージックエンタテインメント主催のオーディションでグランプリを獲得したPRANKROOMなど16組です。
SXSWは1994年に、Musicに加えて、FilmとInteractiveという2分野を追加しました。それをきっかけに、全米の有名な企業が出展するようになり、近年はデジタルテクノロジーやIoTなど世界最先端の潮流の起点となっています。世界から多くの注目を集める、街をあげての大規模なカンファレンスに成長しているのです。
現在、SXSWが開催されているエリアは、なんと東京の渋谷区に匹敵するほどです。非常に広いので参加される方は、見たいセッションやブースは目星を事前につけておきましょう!
私が海外カンファレンスに参加するのは、ドイツ・ケルンで開催されたdmexco、ポルトガル・リスボンで開催されたWebSummitに続いて、3回目になります。全てのカンファレンスに共通してオススメなのが、専用アプリのインストールです。
アプリで、自分が気になるセッションをチェックするなど、スケジュール管理ができます。また、「ABBY」というチャットボットから、シンプルな質問ならば、すぐに返答がきます。
「The Power of Purpose in Business and Lifeのセッションのスピーカーは誰?」
→「Roy pence」
一瞬で返事が返ってきました。
SXSWのメイン会場であるコンベンションセンター内では、最新技術が展示される「トレードショー(見本市)」が4日間に渡り、開催されます。その数は300を越え、日本の他にも、メキシコ、イギリス、中国、ドイツなど世界各国から多くの企業が出展します。
それでは、日本から出展したブースの様子をお伝えします。まずは、特徴的だったブースからです。
パルコブースは2020 Shopping Experience -STYLY OS UMWELT-(スタイリー オーエス アンヴェルト)「2020年の買い物体験」をテーマに、VRを展示していました。VRヘッドセットを装着し、ショッピングできます。
そのメリットは、1.商品在庫に制限がない、2.在庫管理の必要がない、3.EC上でのショッピングで体験できない「友達や家族など“複数人”でショッピングする楽しさ」の実現です。
実際に体験してみると、仮想現実の中で洋服が展示された空間を進んでいき、途中で気になった服があれば、手を伸ばしハンドコントローラーからボタンを押すと、お気に入り登録ができます。すべての空間を通り抜けると、お気に入り登録した服を見ることができます。ECと現実のショッピングを組み合わせた、新しいショッピングのカタチを体験できました。
会場内でも一際目立っていた電通ブース「寿司テレポーレーション」は、食をデータ化し、転送、出力する「OPEN MEALS」の最新プロトタイプです。
世界中どこでも食をデータ化し共有できる、“食のiTunes”を目指してつくっています。今回の展示では、東京で握った寿司をデータ化し、オースティンに転送して出力していました。現在もフードプリンターは世の中に存在していますが、食材をひとつしか出力できません。今回、紹介された技術では、ゲルを原材料とし、複数の味や食材をつくり出せます。また、宗教上の理由や好みで食べられない食材も、違う栄養素から同じ味を再現できます。「食のデータ化」という言葉を初めて聞き、たくさんの可能性を感じて、非常にワクワクしました!
http://www.open-meals.com
革新的だと思ったDoki Dokiブースでは「Transparent(トランスペアレント)」が展示されていました。トランスペアレントは会話がビジュアライズされていくシステムです。
人には様々なバックボーンがあり、出身地、年齢、カルチャーなどから使う言葉や意味合いは変わります。例えば出身地が違う人と話している時や、世代が違う人と話している時、「ん?今の言葉どういう意味だろう。きっとこういう意味だろうな」と会話の中で憶測することがあると思います。しかし、このトランスペアレントがあれば思い込みがなくなります!音声認識により会話が文字化され、単語や専門用語があると、グーグル検索と紐づいているので検索結果がデバイスに表示される新しい会話のプラットフォームです。PCやスマートフォンなどデバイス全てに対応しています。
このシステムが普及すると、違う文化や言語を持っている人たちのコミュニケーションが、より円滑になる未来が実現するでしょう。
https://trnspt.com/media
ヤマハはAIを活用して、初心者でもピアノの達人の気分になれる「YAMAHA Duet with YOO」を展示していました。人間の映像や演奏を解析し、プレーヤーごとの弾き方のニュアンスを汲み取り、調和の取れたアンサンブル(合奏)体験が可能になります。コンセプトは、「楽器経験のない方でも演奏を楽しんでもらう」。楽器演奏は、上手くなって楽しくなるまでに時間がかかりすぎて挫折してしまう人が多いそうです。実際に体験しましたが、全くの初心者の私でも自分がうまくなったような感覚になり、楽しく演奏できました。
ヤマハは音楽業界で唯一AI開発をしているメーカーだそうです。音楽業界の先行者としてのイメージをつくるために博報堂アイ・スタジオとコラボレーションして開発されました。
続いては、その他のブースを写真で紹介していきます。
Saya。受付代理業など様々な可能性があるほか、水族館の魚が自分で自分を説明するなどできる。
後編では、街中のブースや、セッション内容、企業訪問についてお伝えします。
「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」の見どころと、楽しさ(観光スポット&オススメ飲食店)を現地レポート【2】
「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」の見どころと、楽しさ(観光スポット&オススメ飲食店)を現地レポート【3】
ナノベーションでは、参加者同士のネットワーキングや企業訪問など、様々オプションがある「SXSW2019ツアー」を企画予定です。みなさまのご参加をお待ちしております。
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